検査費用:自費5400円
「胃がんリスク検診(ABC検診)」は、胃粘膜の萎縮の程度(血清ペプシノゲン値)とピロリ菌感染の有無(血清ピロリIgG抗体)を測定して、現在から将来の胃がんリスクを予測する検診です。
胃カメラもバリウム検査も必要なく、採血だけで行うことができます。
「胃カメラやバリウム検査に抵抗があるという方は、まずABC検診を受けて、精密検査を受ける必要があるかどうかを判断してみてはいかがでしょうか?
ただ、あくまでも将来的な胃がんのなりやすさ、リスク程度を調べる検査で、現時点での胃がんの有無を診断する検査ではありません。症状がある方や、胃がんが心配な方は今まで通り胃内視鏡検査(胃カメラ)検査をお勧めします。
また、この検診の結果でピロリ菌陽性となり、保険診療で除菌治療をする場合、必ず胃内視鏡検査(胃カメラ)が必要となります。
「ペプシノゲン」という物質の血中濃度を測定することで、胃粘膜の老化(萎縮)を調べる検査です。
ペプシノゲンは胃液に含まれるペプシンのもとになる物質です。胃の粘膜が老化してくると、粘膜の萎縮が進み、血中ペプシノゲン値が低下します。つまり血中のペプシノゲンが低下していれば、胃の粘膜の萎縮が進んでいることがわかります。
さらにペプシノゲンには主に胃底腺から分泌されるペプシノゲンIと、噴門腺や幽門腺などから分泌されるペプシノゲンIIの2種類があります。胃粘膜の萎縮が進行すると胃底腺領域は萎縮し、主にペプシノゲンIが優位に減少するため、ペプシノゲンI/II比が低下します(PG)I/II比↓)。よってペプシノゲンI/II比の低下があれば、ペプシノゲン検査の結果は陽性となります。
胃にピロリ菌が感染していないかを調べる検査です。
ピロリ菌の血液検査は、ピロリ菌そのものではなく、ピロリ菌に対して作られる血液中の抗体を調べます。
この「ピロリ菌抗体検査」と「ペプシノゲン検査」から、将来の胃がんになる危険性を、次のようにABCDと分類します。A<B<C<Dと危険性が高くなっていきます。
ピロリ菌除菌後の方は、Eタイプ(除菌群)として、年に一度、定期的に内視鏡検査を受けることを推奨しています。というのは、ピロリ菌に長年感染していると、がんのリスクである慢性萎縮性胃炎になっていることが多いためです。
また、胃がんリスク検査において以下に該当される場合は、正しい判定ができない可能性がありますのでご注意ください
・食道、胃、十二指腸疾患で治療中の場合
・胃薬や抗生剤を1ヶ月以内に服用していた方
・胃切除をされた方
・腎不全の方(目安として、クレアチニン3mg/dl以上)
・ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌治療を受けた方(除菌群=Eタイプといわれています。)
健康的な胃粘膜で、胃の病気になる危険性は低いと考えられます。ただし、A群と判定された場合でも、胃がん発生のリスクがまったくないわけではありません。ピロリ菌感染以外の要因でも胃に病変が発生する場合もあります。自覚症状がある場合や家族歴がある場合は、医師と相談してください。
ピロリ菌に感染しています。少し弱った胃粘膜です。一度、胃の内視鏡検査(胃カメラ)を受けてください。ピロリ菌は除菌しましょう。そして、3年以内の間隔で定期的に胃の内視鏡検査(胃カメラ)を受けましょう。
弱った胃粘膜です。ピロリ菌感染により、慢性萎縮性胃炎の状態と思われます。胃がんを発症するリスクが高いので、可能なら年に一度は胃の内視鏡検査(胃カメラ)を受けましょう。ピロリ菌は除菌しましょう。
かなり弱った胃粘膜です。慢性萎縮性胃炎の状態で、ピロリ菌も生存できないぐらい胃が弱っている可能性があります。Cタイプと同様、胃がんを発症するリスクが高いので、毎年、胃の内視鏡検査(胃カメラ)を受けましょう。